◆月6138円の差が拡大する?

 日本水道協会の「水道統計」をもとに水道料金が高い、安いところを調査した。19年度に一番高かったのは、北海道夕張市で月あたり6966円。最も安かった長野県下諏訪町は同828円だった。その差は6138円。8倍以上の開きがあり、年間で7万円以上も差が出る。将来的には、この差がもっと広がる恐れがあるというのだ。

(週刊朝日2022年2月11日号より)
(週刊朝日2022年2月11日号より)

 水道代はこの先、どのくらい値上がりする可能性があるのか。参考になるのが、「EY新日本有限責任監査法人」などが昨春にまとめた推計だ。

 18年度の水道統計と、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口を活用した。各自治体の水道事業が、水道料金の収入だけで運営すると仮定した場合、25年後(2043年度)の時点で赤字にならない水準を示した。予測値は、料金収入だけで黒字を維持するのに必要な料金を意味する。対象は、全国の市区町村など水道事業を運営する1232の事業者(東日本大震災と原発事故の影響で人口の推計データのない福島県内の自治体などを除く)。

 推計をまとめたEYストラテジー・アンド・コンサルティングの福田健一郎アソシエートパートナーはこう説明する。

「自治体は施設の老朽化に備えなければなりません。そのため推計では毎年、一定の投資や減価償却費、支払利息が生じると仮定。同時に、国や自治体の財政状況が悪化すると想定し、国からの補助や自治体の一般会計予算からの繰入金などが減っていく前提で試算しました」

 すると、対象の事業者の94%にあたる1162事業者が、値上げが必要になる結果だった。値上がり幅は、月あたり水使用量20立方メートルで18年度の3225円から4642円へ。4割増える計算だ。年間では約1万7千円の負担増を迫られる。

◆水道事業だけで採算が取れない

(週刊朝日2022年2月11日号より)
(週刊朝日2022年2月11日号より)

 値上がり率が高かったのは、宮城県女川町をはじめ、本県南阿蘇村や岩手県葛巻(くずまき)町など。女川町は、独立採算で運営するには、18年度の2420円から、43年度に2万4096円まで、なんと今の10倍近く値上げする必要があるとの予測だ。福田さんがこのように補足する。

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