SPの曲は清家信也さんが編曲・演奏した「序奏とロンド・カプリチオーソ」のピアノバージョン。テレビ中継では、まるで羽生が氷上で演奏しているみたいだと評された。
「羽生はまるで指揮者みたいでしたね。音楽を聞きながら合わせに行くと動きが遅れてしまう。先の音を考えながらタクトを振る指揮者」
もしも、羽生選手が、演技冒頭でミスをしなかったらどのくらいの点数が出たのか。
「その後の演技が完璧だったので、おそらく、鍵山を抜いて2位になっていたでしょう。ネネイサンとは3点前後の差にまで詰め寄っていたのではないか。タラレバですが、そうなればフリーも違う展開になっていたでしょうね。」
■宇野昌磨はもっと上を目指した演技だった
五輪2大会連続の銅メダルに輝いた宇野昌麿選手(24)は当初、フリーの演技では4回転を4本入れる予定だったが、1本追加して5本跳んだ。
「4種類のジャンプで5本跳んでいましたね。もともと4本だったのを5本に増やしたのは、SPトップのネイサンが5本というのに勝負を挑んだのでしょう。銅メダルではなくもっと上を目指したんだと思います」
宇野選手は4回転ループなどできれいに着氷していたが、4回転フリップで氷に手をついた。
「プログラムで、4回転ジャンプを一つ増やすというだけで、相当ストレスがかかる。プログラムの難度を上げたからか、オリンピックの重圧が影響したからか、やや硬い感じの演技でしたね」
8日のSPでは自己記録を更新し、3位発進していた。
「SPでは4回転-3回転の連続トゥループの後、手をつきましたが、こらえられなかったのかなとは思いました。それ以外はいい演技でしたね」
曲はマルチェッロの「オーボエ協奏曲」。
「抽象的な曲で、何を表現しているのかわかりにくい曲をあえて選んだ。それを僕はこう解釈してこのように表現しますというのを魅せた」
宇野選手と羽生選手は比較されることが多い。