「最近の羽生にはストイックで近寄り難い雰囲気がありますが、宇野は親しみやすさがある。人前でもスマホでゲームをしていたこともありますよ(笑)」
宇野が出場しているスケート会場では、「ショウマー」という歓声が常に聞こえてくる。愛されるスケーターだ。
■鍵山優真は一転、慎重に 伸びしろに期待
銀メダルの鍵山優真選手(18)の演技はどのように評価したか。
「鍵山は団体の演技はすごくいい演技をしていましたが、男子フリーはすごく慎重に、慎重に滑っているように見えました。失敗したくないというのが、透けて見えてしまうような演技でしたね」
ちょっと慎重に行き過ぎたか。ただ、鍵山選手はフリーで4回転を4本跳んだ。
「内容的にはほぼ予定通り。いくつかミスはしていますけど、エレメンツのミスがどうこうというより、あれだけ重圧のかかる中で、ボロボロにならず、最後まできちんとまとめたというところはとても偉かったと思います」
鍵山はSPと総合得点では自己記録を更新した。
「今シーズン何度か鍵山が滑るのを見ています。シーズン初めから滑るたびにうまくなっていった。北京のSPではステップシークエンスでちょっとけつまづきそうになったりとか、小さなミスがありました。まだ若いし、ジュニアから上がったばかりで、プログラム全体を表現していくとか、一つの作品として作り上げていくところは勉強の余地がある。コンポーネンツ(演技構成点)で9・5くらい出している選手にいうのもなんですが、まだまだノビシロはありますね」
■王者ネイサン・チェンは精神的に強くなった
金メダルのネイサン・チェンは4回転を5本跳んだ。王者の風格すら感じる安定感のある演技だった。
「彼はそういう意味では鍵山、宇野よりも落ち着いていたのかなとは思います。精神的にすごく強いですね」
ネイサンは4年前の平昌冬季五輪では5位に沈んだが、そこからの飛躍。
「4年前はともかく、緊張してSPをボロボロにミスしていた。あの失敗から、彼は変わりましたよね」