内館:私ね、体育会だったでしょ。三流選手だったけど、ずっと水泳やってたし、大学ではラグビー部のマネジャーだったし、OLになってからはヨット部だったし、体育会的な心身の痛めつけ方って、自分なりにしてきてるのよね。だから、いまやってること、しんどくないのよ。何もやることがなく、責任もとる必要がなかったOL時代のほうが千倍もしんどかった。
林:内館さん、「今度の、すっごくいいわよ。自信あるの。見てね」っていつも言うよね。「視聴率取れなかったらどうしよう」って弱音、一度も聞いたことない。たとえ視聴率が取れなくても、「主題歌がヒットしてるのよ」って落ち込まないし(笑)。
内館:ヨットなんかでも、レース前に「負けるかもしれない」って思うと、ほんとに負けちゃうのよ。大河ドラマでも、一行も書いてないうちから、スタッフに「勝ったようなもんよ」って(笑)。私、すごくいっぱいのスタッフと仕事してるじゃない? 大河だったら、それこそ何百人単位よ。その中で私がヨレヨレしちゃうと、全部スタッフに出ちゃうの。私とあなたって、仲良しなのに全然違うのよね。エッセー読んで気がついたの。楽しいことを先にやっちゃって、成田に向かう車の中でまで原稿書いたっていう話を書いてたでしょ。私、夏休みの宿題は初日に全部やっちゃうほうなの。
(構成 本誌・直木詩帆)
※週刊朝日 2022年2月18日号