岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office

 動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、東京都八王子市の「同僚にゃん」です。

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撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office

「なっちゃん、おはよー」

 乗馬クラブで暮らす3歳のメス猫、なつ。誰にでも甘える人懐っこいマドンナに、スタッフやお客さんが次々と声をかける。

 もう一匹、あきという猫もいるが、シャイなのでなかなか姿を見せない。看板猫の務めは、なつに任せているようだ。

 マイナス2度の底冷えする朝、なつは馬と一緒に陽だまりの中にいた。馬がボウッと白く長い息を吐く。なつがポフッと小さく丸い息を鼻先で揺らす。ともにクラブを支える一頭と一匹の、「一日」が始まる。

週刊朝日  2022年3月4日号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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