AERA 2022年3月14日号より

ロッテの命運握る存在

 課題は体力面だろう。昨年は中6日で登板したのが1度のみ。先発ローテーションで1年間稼働するためには、1週間に1度の登板で球数を費やさずに長いイニングを投げることも大きなテーマになる。

「今年の実戦でカーブを試しているのも、緩急をつけて早いカウントで凡打に仕留めることを意図しているのでしょう。投げる能力に関しては申し分ない。先発ローテーションで1年間投げ切れるか。重圧をかけてはいけませんが、ロッテの命運を握っている存在であることは間違いない」(スポーツ紙記者)

■米国のメディアも注目

 佐々木の進化は、海の向こうでも話題になっている。米国メディア「ファンサイデッド」が2月20日、佐々木を紹介する記事を配信した。19日の日本ハム戦で163キロを計測したことに言及し、読者に呼びかけた。

「先発投手がどの時期にこの数字を出しても衝撃的なのは言うまでもないが、20歳という年齢で、しかも2月中旬という時期にこれほどの球を投げられるというのは恐るべきことだ。今すぐメジャーに来るわけではないが、すさまじい投球と底知れない可能性を秘めた佐々木朗希の名前は覚えておくべきだ」

 岩手県陸前高田市出身の佐々木にとって、今年も特別な日を迎える。当時9歳だった11年3月11日、東日本大震災の津波で父と祖父母を亡くし、実家も流された。大きなショックを受けたが、大船渡市に移り住んで野球を続けて現在がある。支えてくれる人たちのために右腕を振り続ける。(ライター・牧忠則)

AERA 2022年3月14日号を一部改変

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