ロシアのプーチン大統領
ロシアのプーチン大統領

 ウクライナ出身の女性は子供のいじめについて、こう話す。

「日本に住んでいるウクライナ人の子どもはいじめられたという話は聞きません。だけど、ロシア人の子どもは『あなたの国はウクライナを攻めた』といじめられていると聞きます」

さらに、大人の世界でも戦争は友情に暗い影を落としている。戦争をきっかけに、日本に住むウクライナ人とロシア人の関係が微妙になってきているという。ウクライナ人女性はこう続ける。

「来日してから6年間、ずっと仲良しのロシア人の友達がいました。でも、この戦争をきっかけに、連絡を取るのをやめました。私の両親はウクライナの首都キエフにいて毎日、心配しています。なのに、今、友達はやさしくない。だからもう嫌だ。ロシア人の中にはインスタグラムとかフェイスブックとかを使って情報を流して、ロシア軍を支持している人もいる。だから、今はロシア人と話したくないのです」

日本とロシアの間を何度も行き来している、10歳の子を持つロシア人女性はこう話す。

「ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の2人が悪い。私たち普通の市民のことを考えていない。人生では、おいしいものを食べ、いい暮らしがしたい。生活が心配にならないような毎日が欲しい。だけど、今はみんな明日のこともわからない。戦争に行かせるために子どもを生んだのではない」

そして、ロシア人の子どものいじめについてはこう言った。

「偉い人たちのやったことの責任を私たちの子どもに負わせないでください。早く戦争をやめて、と神様にお願いしています」

 国家としてのロシアの選択が誤っていたとしても、国民ひとり一人の考えは違う。まして、子どもに罪はない。周囲のわれわれはどのように対応すればいいのだろうか。

公立小学校で23年間教師を務めた教育評論家の親野智可等(おやのちから)氏は小学校でのロシアにルーツがある子どもへのからかいや戦争の話題が子どもたちの間で出ることにいてこう話す。

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「あ、そうか」と子どもは気がつく