「ある程度予想できることなので、事前に、ロシアの子どもが居づらいという気持ちになるようなことが起こる前に、先生の指導が必要ですね。そういう小さい芽を発見したら、先生が生徒たちにわかるように話をしてあげることです。たとえば、その子がいない時に、『○○君がそういう話を聞くと、自分が責められているわけでなくても、気にしちゃうし、学校へ行くたくなくなっちゃうから、聞こえるようなところで話さないようにしようね。ロシアの子に戦争の責任があるわけではないから。それはやっぱり区別しないとね』というような話をしてあげることは必要だと思いますよ。ロシアのプーチンは弱いものいじめをしているわけですよ。それと、同じようなことを結局、してしまう。意図しなくても、そういうことをクラスで話すことで非常に傷つく子がいるんだということを教えてあげれば、『あ、そうか』と子どもたちも気がつくし、大事なことだと思います」
続けて親野氏はこう指摘する。
「日本人の親御さんがまず家で、子どもに話をして欲しい。親御さんもなかなかそこまで配慮がある人ばかりではないんですが、クラスにロシア人あるいはルーツにロシアを持つ子がいる場合、『うわっ、ロシア人だ』なんて言ったら当然、子どもが傷つくということがわかるわけだから」
子どもだから仕方ないとあきらめず、親が教えれば、今ウクライナで起きていることの責任は目の前の友達にはないことは、子どもは理解できるという。
「とにかく何気ない一言で傷つくことがあるんだということはロシアの問題に限らず、いろんな場面であるわけです。小学校、中学校の先生や親がちょっと言ってあげれば子供は気づくんだよね。そんな長々と話す必要はなく、2~3分でいいんです。『クラスにロシアの子がいるけど、あなたたち、ロシア人がどうのこうのと言ってると、そういうの気にしちゃうし、逆の立場だったら嫌でしょう。プーチンは確かに悪いけど、ロシア人の子どもが悪いわけじゃない。全然関係ないですよ。責任は全くない。そういうことは教えていく必要はあるよね」
(AERAdot.編集部 上田耕司)