写真はイメージです(提供)
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 ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続く中、在日ロシア人や関係者たちへの嫌がらせが起きている。特に心配なのは子どもへの「いじめ」。親たちを取材した。

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「ママ、学校に行きたくない。頭痛と吐き気がするから」

先日、公立小学校に通う6年生の長女に、母親である首都圏に住む40代のシングルマザーのロシア人女性は言われた。長女の目は真っ赤だった。

「どうしてなの」

と聞いたところ、長女はその理由を明かした。

「学校で私は何もしていないのに、クラスのみんなは笑いながら『うわっ、ロシア人だ』とからかう。クラスメートが毎日、ウクライナとロシアの戦争の話をしているから、教室にいても気まずいし……。きょうは『ロシア人は死ぬわよ』と言われた」

母親は、こう励ますほかなかった。

「もうすぐ小学校を卒業して、中学生になるんだから、毎日学校へ行きましょう。あなたは日本で生まれたんだし、パパは日本人なんだから」

母親は20歳の頃に来日。日本人男性と結婚し、1男1女をもうけたが7年前に離婚した。国籍はロシアだが、日本の永住権がある。

長女の学校での様子についてこう話す。

「娘は先日、学校で保健室へ行ったそうです。クラスにいたくなかったのかもしれません。保健室の先生から心配され、担任の先生に連絡が行ったそうです」

 数日前、担任から電話があった。

「先生からは『気づかなくてすいません。明日、戦争の話を大きな声でしないように、クラスの子供たちに指示をしようと思いますが、お母さんはどう思いますか』と聞かれました。私は『もっと早く、(戦争についての)対応してほしかった』と答えました。先生は1週間から10日間くらい対応が遅かった」

 学校側としても、ロシア人の女性の子どもの境遇に気づくべきではなかったのか。その後、クラスの様子はどうなのか。ロシア人の母親は言う。

「先生が戦争の話は大きな声でしないでと言ってからも、子どもはしちゃうんです。娘は学校へ行きたくないと言って、すごい泣いてました。ちょうどさっき騒いでいたところ。なんとか卒業まで頑張れば、春休みに入るので、落ち着くと思うのですが」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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