不登校ジャーナリストの石井しこうさんは、自身も中学時代に不登校を経験し、同じように不登校になった人やその保護者など、これまで400人以上に取材をしてきました。そのなかで「不登校当時の絶望していた自分に言えそうなこと」を、著書『学校に行かなかった僕が、あのころの自分に今なら言えること』(大和書房)にまとめました。いじめについて悩む人へのメッセージを紹介します。
【マンガ】「学校を休ませる不安」など、付き添い登校の末、うつ病になった漫画家が語る”息子の不登校” はこちら(全38枚)先生に被害を訴えたのに、いじめを信じてもらえない
小・中・高のいじめ認知件数は68万1948 件(2022 年度)。学年別でみると小1から小3までがトップ3。いじめは10代半ばから後半にかけて起きると思われていましたが、統計上は10歳になる前にピークを迎えていました。
また、不登校した本人に、その理由を聞くと、「いじめがきっかけだった」という人は約4人に1人(26・2%)。しかし、先生に、生徒の不登校理由を聞くと「いじめ」と答えた人は4.2
%しかいませんでした。単純比較はできませんが、先生と生徒本人のあいだには6倍以上もの差が。つまり、生徒は「いじめで不登校になった」と思っていても、多くの先生はそうは思っていない、ということ。この乖離(かいり)は何年も前から研究者のあいだで問題視されている事態なのです。
もしあなたがいじめを受けて不登校になっていたら、今でも苦しいはずです。そしていじめを信じてくれなかった先生、いじめを止めてくれなかった先生に「謝ってほしい」と思うでしょう。謝ってくれたら気もすむのですが、本当に残念なことに、その願いが叶(かな)う人はほとんどいません。「いじめが原因」だと思っていない先生のほうが多いからです。
すこし気が和(やわ)らぐ方法が3つあります。
言葉にする際は、その場に先生がいなくてもかまいません。当時のことを思い出したとき「先生、謝ってください!」とただ口に出すだけでも気持ちが少し晴れます。私の友人も実践していました。
次のページへ苦しんだからこそできること