リビウ駅の前には退避列車に乗ろうとする大勢の人が押し寄せた
リビウ駅の前には退避列車に乗ろうとする大勢の人が押し寄せた

 最終的には娘の状態から判断して、卒業式まであとわずかだが学校には行かせないで家で過ごすことにしたという。

 ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が激しさを増すにつれ、ロシアという国家だけでなく、その国民や関係者に対して日本でネガティブな感情が沸き出てきている。学校でのいじめもその一つ。

前出のロシア人の母親はSNSでのロシアンコミュニティで交わされる情報をこう明かした。

「SNSのロシア人のママたちのグループでは、 中学校の生徒が、『ロシアに帰れ』と言われ、殴り合いのけんかになったというコメントがありました」

別のコメントではこんなものもあったという。

「『あなたの国は日本人を殺した』と、子どもが言われたというコメントもありました。日露戦争や第二次世界大戦のことを言っているのでしょうか。子どもはまだピュアだから、テレビのニュースとか親が家で会話していることをそのままストレートに言っちゃうんでしょうね」

さらにはSNSではロシア料理店への嫌がらせもあるという。

「いろんなロシア料理店の名前を上げ、『不味すぎ』とかコメントが書いてあって、死体のようにうずくまる兵士の格好の写真を載せています。お客さんは誰も行かなくなるじゃないですか」

こうした嫌がらせは、これまでになかったことだという。

「SNSのママたちのグループではこれまでは日常生活の中で困ったことがあったときに、誰か似たような経験があったら解決法を教えてくださいというような書き込みに、みんな相談に乗っていたんですよ。でも、今回は、困っていても子どものいじめについては、話を表に出したくないと怖がっています。子供がもっとひどいいじめにあうかもしれなとおそれているのです。こんなことは初めてです」(同)

別の30代のロシア人女性はこんな話を聞いたという。

「日本語学校でオンライン授業を受けている18歳のロシア人女性の母親から、『先生が無視して挨拶もしない』『先生から、ウクライナとロシアの戦争をどう思いますか、と質問された。そんなことを授業中に話すことなのでしょうか』と相談を受けました。母親は心配していました」

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大人の友情にも影を落とす戦争