遊歩道となった「鵬雲洞」トンネル

 海南線の浜の宮~琴の浦には「鵬雲洞」トンネルがあり、1965年の訪問時には撮影が叶わなかった。最後の写真が1971年1月に和歌山を再訪し、赤煉瓦巻きポータルを持つ鵬雲洞トンネルを背景に撮影した作品。二つ目を点灯した700型が海南駅前へ走り去る一コマだ。

廃止を目前にした1971年1月、鵬雲洞トンネルを訪れるチャンスが巡ってきた。冬枯れの山並みにケロヨンライトが輝いた。浜の宮~琴の浦(撮影/諸河久:1971年1月8日)
廃止を目前にした1971年1月、鵬雲洞トンネルを訪れるチャンスが巡ってきた。冬枯れの山並みにケロヨンライトが輝いた。浜の宮~琴の浦(撮影/諸河久:1971年1月8日)

 この鵬雲洞トンネルは海南線琴の浜延伸時の1911年11月3日に開通した路面電車専用の複線トンネルで、長さは184.47mある。トンネルの前後は専用軌道になっており、横浜市電本牧線の本牧トンネルと類似している。本牧トンネルの長さは215mで、「日本最長の路面電車トンネル」になる。開通したのは同年の11月26日だったから、和歌山の方が僅かに古い。ちなみに「日本最古の路面電車トンネル」は、都電溜池線の喰違見附トンネルで1905年の開通だった。

 鵬雲洞トンネルは1971年4月の路線廃止後に「紀三井寺緑道」として整備され、遊歩道として市民に親しまれている。

■撮影:1965年3月22日

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