コロナの影響をうけ、夫の会社は親きょうだいにも借金をしなければならないほど業績が悪化。彼女は資金繰りのことより、夫がこの実態を隠していたことがショックだったと振り返ります。

「夫は、私じゃ現実に耐えられないと感じたんでしょうね。お金を借りてしのいだけれど、昨年後半にはいよいよ危ないという状況になって、私も働かなきゃと。それなのに結婚して仕事から離れ、急に社会復帰する自信がなくて、何もできなかったんです」

 仕事も子育ても「できない」し、家計は火の車。どん底にいる夫の役に立ちたいと強烈に感じたとか。そんな折に家庭力アッププロジェクトと出会いました。

いまは、いつでも子どものお友だちを呼べるリビングになりました/After
いまは、いつでも子どものお友だちを呼べるリビングになりました/After

 45日間で片づけ終えたら、引っ越し段ボールやおもちゃは消え、家の全部が気持ちいい。見てわかる変化はそれだけです。でも、そこにいる家族のこころもちまでずっと軽くなりました。

 驚いたことに、夫の事業はV字回復しました。プロジェクト中は一番厳しい時期だったけれど、かつてない規模の大型案件が奇跡的に舞い込んで、間一髪。子どもの病気も、体に合う施術が見つかって、症状がほとんど出なくなりました。

 彼女は45日間で、何をどう片づけたのでしょうか。

夫の書類や郵便物がなかなか減らせなかったダイニングテーブル周り/Before
夫の書類や郵便物がなかなか減らせなかったダイニングテーブル周り/Before

 まずやったのは、片づけのゴールを設定すること。自分だけが片づけて疲弊する状況から抜け出すために、特に夫の私物と子どものおもちゃは各自が片づけられる状態を「ゴール」と定めました。たとえば、夫が家にいるときによく使うダイニングテーブルは、ケーブルや書類、郵便物がたまりがち。手をのばせば届く所にそれらの収納を設けました。ワンアクションで取って戻せると好評です。リビングにはおもちゃを置きたくないという夫と、みんながいる場所で遊びたいという子ども、それぞれがストレスを抱えていた「リビングのおもちゃ問題」は、大きめのカートを用意して、子ども部屋とリビングを行き来できる移動型の収納にすることで解決しました。子どもは、自分の部屋からリビングへとカートを引いていき、遊び終わるとおもちゃをカートに戻して、また部自分の部屋に引いて帰るようになりました。

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夫婦のパワーバランスにも変化