かつてのリビングには、引っ越し後の段ボールが常駐していました/Before
かつてのリビングには、引っ越し後の段ボールが常駐していました/Before
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 5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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case.20 片づけは最強のディフェンス
夫+子ども/専業主婦

 家庭が危機にあるとき、直感的に“家のまるごとお片づけ”を選択する女性たちがいます。今回ご紹介する、会社を経営する夫と幼い子どもと暮らす女性もその一人です。

 彼女が夫について話すとき、愛にあふれた様子が伝わってきます。

「私が言うのもなんですが夫はよくできた人。尊敬しています。ポジティブで自信をしっかりみせるタイプです」

 夫婦のパワーバランスは夫優位で、大事なことはほぼ彼が決めていました。彼女も夫を頼っていたようです。

 夫との関係はいいけれど、家庭では片づけ下手を痛感。後回しグセと決断が苦手なのが原因だとうすうす気づいていました。私と出会ったころは、3カ月前の引っ越しの段ボールがあちこちに放置され、人を呼びたくても呼べない状態でした。

「〇〇くんと僕のお家で遊びたい。いつも〇〇くんのお家ばっかりだから、僕のおもちゃでも一緒に遊びたい」

 子どものこんな小さな願いにも応えられず、自己嫌悪の日々。不用品が目に入るとイライラしてしまい、子どもがちょっと騒いだだけで冷静でいられなくなるのも悩みでした。彼女のお子さんには持病があって、「もっと柔軟に受け止めたい」という思いを抱いていたようです。

 慌ただしくも幸せな生活に変化が起きたのは、昨年のこと。夫の様子が違うと感じたときからです。

「家族で出かけたとき、1日の予定をパッと決める人だったのに、心ここにあらず。そして、子どもに感情的に怒鳴ったんです。ちょっと子どもにイライラしても、いいほうへ持っていくのがうまかったのに。あきらかに余裕がないなと。『何か話すことない?』って聞くとはぐらかされて。1カ月ほどしてやっと聞けたとき、会社の状況が厳しいんだとわかりました」

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仕事も子育てもできないし、家計は火の車