
「蜷川実花さんとの撮影はいつか絶対叶えたい夢でした」
これ以上ないほどポップなセットの中で、これ以上ない笑顔がはじける。時代が求める「原宿系クリエーター」の、5年越しの夢が実現した瞬間だ。
【写真】蜷川実花が撮った!ポップすぎるAERA表紙を飾ったしなこさん
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「うわぁ! かわいい……!」
スタジオに組まれたメルヘンなセットを見た瞬間、目を輝かせた。ウィンクをしたり、大きなロリポップキャンディを剣に見立てて構えたり。表紙フォトグラファーの蜷川実花がシャッターを切るたびに、くるくると表情を変えていく。
「蜷川さんの世界観が本当に大好きだったので夢みたいです。自分はいま、映画のなかにいるんじゃないかって」
高校時代に原宿と出合い、人生が大きく動きだした。自らを「原宿系クリエーター」と名乗り、お菓子をつくったり、動画を撮ったり。昨年からはアーティストとして、音楽活動もはじめた。α世代を中心に絶大な人気を誇り、コラボしたグッズは軒並み完売する。誰もが認める、原宿のニューアイコン。
だが、5年前は違った。右肩上がりだったフォロワー数は伸び悩み、体形を揶揄するコメントであふれた。自信がなくなり、方向性もわからなくなった。
「そんなときに蜷川さんが監督した『FOLLOWERS』を見て、本当に勇気づけられたんです。あれがなければ今の私はいなかったと言えるくらい大切な作品です」
SNS時代のインフルエンサーを描いた物語が自分と重なった。ここで折れていられないと愚直に突き進んだら、少しずつステージが大きくなった。

雑誌の撮影にテレビロケ、ライブに向けた準備など分刻みのスケジュールが続く。その合間をぬって、プロデューサーを務める原宿のタピオカドリンク店「ベビタピ」の店頭にも立つ。どこを切り取っても超多忙な売れっ子だが、自ら動くことを厭わない。表紙撮影のやり取りでは、スタッフに代わって、本人から返事がくることもあった。
目の前にいる一人ひとりに真摯に向き合う。星の数ほどいるインフルエンサーのなかでも、しなこが求められる理由が垣間見えた。
(編集部・福井しほ)
※AERA 2025年6月16日号から掲載
AERA DIGITALではしなこさんの表紙撮影とインタビューの様子を動画で公開中です。誌面とあわせて、ぜひチェックしてください。
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