急性内斜視は近い距離を見続けることで両方の目が内側に寄ったまま、元に戻らない状態だ。遠くを見たときに物が二重に見えるようになる。
外斜位は遠くを見たとき、右目か左目どちらかの視線が外側に向かっている状態だ。多くは生まれつきで、日常生活に支障はないが、近くを見続けていると寄り目になるので眼筋に負担がかかり、眼精疲労の原因になる。
高齢者に増えている斜位の一種「サギングアイ症候群」もある。眼球を支えるコラーゲン組織が加齢の影響で弱くなり、眼筋を固定する力が低下することで起こる。ぼやける、物が二重に見える、といった症状が特徴だ。
「運転中にセンターラインが二重に見えることなどから発覚します。事故につながりかねない目の病気なので、おかしいと思ったら早めに受診しましょう」(同)
なお、眼位の異常は通常の眼鏡では治らないため、プリズムレンズ(光の進路を屈折させ、視線の向きを矯正する)による矯正が必要になる。
目がごろごろする、しょぼしょぼする症状がある場合は、「ドライアイ」が疑われる。小沢眼科内科病院理事長の小沢忠彦医師はこう話す。
「眼球の表面は角膜と涙に覆われることで表面が滑らかになり、レンズの効果がより発揮されます。ドライになると涙の層が薄くなるため、レンズの効果が落ちて、ぼやけて見えるのです」
なお、前出の梶田医師によれば、目のピント合わせは自律神経でコントロールされており、遠くを見るときは交感神経が、近くを見るときは副交感神経が働く。このため、遠視などで近くにピントを合わせる状態が続くと、常に副交感神経が活発になり、涙の粘度が下がるという。
■眼瞼下垂や白内障もかすみ、疲れの原因
目のかすみや疲れの原因には「眼瞼下垂」や「白内障」など手術が必要な病気もある。眼瞼下垂は上まぶたが下がり、目が開きにくくなる病気だ。加齢によって起こるものが一番多い。
「年をとるとまぶたを持ち上げる『眼瞼挙筋』と周囲の組織の結合がゆるみ、まぶたが上がりにくくなるのです。無理に目をこじあけようとするので、強い目の疲労を感じることが多くなります」(小沢医師)