ひろゆきを動かす方法を思いつくゆかさん(『だんな様はひろゆき』より)
ひろゆきを動かす方法を思いつくゆかさん(『だんな様はひろゆき』より)

 それに、部屋が狭くなると言うけど、あなたもずっとソファベッドをベッドにして部屋のほとんどのスペースを埋めていたよね。それは同じことじゃないの?」

 これは過去の事実に基づく発言であり、意見の根拠としても筋が通っていると思います。

 ちなみに、彼は正しいことを「そうだね」とその場で素直に認める性格ではないためここでの返答はありませんでした。LINEで言うところの既読スルーの状態ですが、そこを深掘りしてはいけません。

 目的は相手を言い負かすことではなく、快適なソファをGetすることなのですから。

 私は次の作戦に出ました。

■嘘をつかない

 議論が白熱した際、つい状況を切り抜けたい、有利にしたいと思うがために、根拠に乏しいことを言ってしまうことがあります。彼はそういった「嘘」に対して非常に敏感です。適当なことを言わないように注意しなければなりません。

 私は言葉を選びながら、また、長く一緒にいて、彼は自分で決めた物事については結構ちゃんと守るという習性があることも思い出しつつ、次のように伝えました。

「もし、大きなソファがどうしても嫌なら普通の2人掛けソファでいいよ。だけど、私もちゃんと背をもたれて、足を伸ばして座りたい。そうさせてくれるって約束して?」

 2回目のスルーか……?と思いきや「もへ」という返答が来ました。これは彼の中で、すぐに返答できない(したくない)けれども、必ずしも「NO」でもない時に発する“宇宙語”です。

 今はこれ以上話を続けてもメリットはないと感じた私は「じゃぁ考えといて」と別室に移りました。進展がないのに同じ話を繰り返す状況を防ぐためです。それから数十分後、LINEにメッセージが入りました。そこにはこう書いてありました。

「欲しいソファのURL送ってー」。

 その後、サイズや形状、素材など、細かいやり取りを重ねつつ、隙あらば安さとお得に心引かれる彼を、耐久年数から見るコストパフォーマンスという観点から説得し、数カ月後、ついに2人でゆったりと座れるソファが届きました。

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論破すること=「勝ち」ではない