資格で人生一発逆転というのは10年ぐらい前から現実的ではなくなっています。弁護士ですら人余りと言われていますし、AI化が進んだら税理士もいらなくなるのではと言われています。ですから、それぞれに必要なものを選んだ方がいいんです。
資格は新しいことを学ぶきっかけとして有用です。ただ漠然と会計とか英語を勉強するのではなく、簿記検定2級を6月の試験で取るとか、次のTOEICの試験で600点以上取るとか決めてみる。資格を目指すことによって、目標とするレベル感と期限の設定ができるわけです。
資格・検定試験が存在することによって、その対策のための本やオンライン教材が出ているから効率的に勉強できる。ただ専門書を読んでいるだけだと続かないし、わかったつもりになってしまうけれど、問題を解いてみれば弱点が明確になる。効果的な勉強ができるんです。
資格は組み合わせでさらにオリジナリティーが出せます。私の知り合いではプロボクサーの税理士とか、ねこ検定の監修者の方が建築士とか。この方は、ペットと幸せに暮らせる家をプロデュースしています。
大人になると失敗を恐れるようになるけど、試験に落ちたらかっこ悪いということはまったくありません。試験は自分ができていないところをはっきりさせてくれる。それがわからないと成長できない。新しいことを勉強して、最初から100%うまくはできないのは当たり前。失敗したらいやだという気持ちは捨ててほしいです。
私も今まで受けてきた試験の合格率は7、8割程度。落ちる過程も含めてゲーム感覚で楽しんでいるところがあるし、今年は無理そうだけど来年には取りたいから、次回のために過去問を一回分、入手するつもりで受けたりすることもあります。もちろん試験に落ちるよりは受かるほうが嬉しいですが、確実に勝てる勝負しかしないというのも面白くない。ゲームも楽勝に倒せる敵ばかりだったら面白くないじゃないですか。
何のために学ぶのか。自分の成長のためなら、壁はむしろあったほうがいい。お子さんのいる家庭なら、親が勉強して頑張って試験を受けている姿を見せたほうがいい。勉強しなさいと言わなくてもするようになります。(ライター・仲宇佐ゆり)
※AERAオンライン限定記事