ロッテ・松川虎生(写真提供・千葉ロッテマリーンズ)
ロッテ・松川虎生(写真提供・千葉ロッテマリーンズ)
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 4月10日のオリックス戦で28年ぶりとなる完全試合を達成したロッテの佐々木朗希。そしてその快挙を見事にリードしたのが18歳の松川虎生ということも大きな話題となっている。市和歌山では小園健太(DeNA)とバッテリーを組み、3年春には選抜高校野球にも出場。夏は和歌山大会の決勝で甲子園優勝を果たすことになる智弁和歌山に敗れたものの、高校ナンバーワン捕手として高く評価され、ドラフト1位でのプロ入りとなった。

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 キャンプ、オープン戦でも順調にアピールを続け、プロ野球史上3人目となる高卒ルーキーでの開幕スタメンを勝ち取ると、その後も主に佐々木と石川歩とバッテリーを組み、チームの勝利にも大きく貢献している。落ち着いたプレーぶりとキャッチングの上手さに加え、完全試合となったゲームでもあと少しで満塁ホームランかというダメ押しの3点タイムリーツーベースを放つなど、その打撃にも非凡なものがある。順調に成長すれば、球界を代表する強打のキャッチャーになれる可能性は十分に秘めていると言えるだろう。

 そして松川以外にも今年は打てるキャッチャーとして楽しみな選手が続々と出てきている印象を受ける。まず取り上げたいのが、松川と同じルーキーながら開幕スタメンを任せられた安田悠馬(楽天)だ。開幕2戦目ではプロ初ヒットを佐々木朗希から放つと、続く3月29日のオリックス戦では田嶋大樹から豪快なプロ初ホームランをライトスタンド上段に叩き込んで見せたのだ。須磨翔風高時代は無名の選手で、愛知大進学後も二部でのプレーが長かったため全国的な知名度は高くなかったが、年々長打力を増して順調にスケールアップを果たした。

 筆者が現地で取材した大学最後の公式戦となった至学館大戦でも2打席連続でセンターバックスクリーンの上部に直撃するホームランを放っている。ちなみに相手投手も二部とはいえ140キロを超えるスピードをマークしており、決してレベルが低かったわけではない。たくましい体格とパワーはもちろんだが、スイングに柔らかさがあり、しっかりと体に近いところから鋭く振ることができるのが大きな長所だ。高校から大学3年までは主にファーストと外野を守っており、捕手としての経験は浅いものの地肩の強さも魅力である。現在は新型コロナウイルス感染により戦列を離れているが、怪我ではないだけに復帰すればまたスタメンで起用される試合も多くなることも十分に考えられる。大学卒ではあるものの、松川との出世争いは今後パ・リーグの大きな注目ポイントとなりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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