少し距離をとって子どもたちの対局を見つめる藤井聡太竜王。ブームを巻き起こした本人は、いたって冷静だ/3月12日、島根県で
少し距離をとって子どもたちの対局を見つめる藤井聡太竜王。ブームを巻き起こした本人は、いたって冷静だ/3月12日、島根県で

 棋士には勝負師、研究者、芸術家、三つの顔があるとよくいわれる。谷合は先にも述べたその経歴から、研究者のようにも見える。しかし実は負けず嫌いで、かなりの勝負師タイプだ。

谷合:なんでも、やるからには勝ちたいと思いました。自分が向いてないゲームは早々にやめて、勝てそうなゲームだけ続けました(笑)。

 谷合は小学生の頃、将棋連盟の道場によく通った。それ以来の知り合いなのは、香川愛生女流四段(元女流王将)や渡辺和史五段。渡辺は21年度、藤井をも上回る20連勝を達成して、連勝1位を達成した。

 優秀な同世代と早くから切磋琢磨することによって、自然と鍛えられていく。

 学業も将棋も優秀だった谷合は、中高一貫の都立校・白鴎(東京都台東区)で、将棋に秀でた生徒の特別枠入試を受験した。余裕で合格しておかしくなさそうだが、「私と香川さんは落ちました」と苦笑いする。そのとき、受かったのが伊藤沙恵・現女流名人と三枚堂達也・現七段だったという。

 谷合は中高一貫の私立男子校・獨協(東京都文京区)に進学し、そこから東大を受験する。

谷合:大学受験のときも全国模試のランキングとか出てて、少しでも上に行くためにっていうのも結構、モチベーションの一つだったので。何ごとに対してもけっこう、勝負を見いだしている気がします。

(ライター・松本博文)

※AERA 2022年4月18日号の将棋特集より抜粋

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