忘れてはならないのが昨年夏の甲子園優勝校である智弁和歌山(和歌山)だ。昨年秋は新チームのスタートが遅れたことも影響してか、県大会の準決勝で和歌山東に敗れて近畿大会出場を逃したが、選手個人の能力はやはり高い。特に大きいのが昨年夏の優勝を経験したキャッチャーの渡部海の存在だ。1年夏からマスクをかぶり、昨年夏もあらゆる投手をリードしてチームを見事優勝に導いている。ディフェンス面では大阪桐蔭の松尾汐恩にも決して負けない実力者である。投手陣も昨年夏の甲子園で好投した武元一輝、塩路柊季の2人を中心に力のある選手が揃っている。特に武元は投打ともに非凡なものがあり、プロのスカウトからの注目度も高い。昨年もセンバツ出場を逃しながら夏の甲子園を制覇しているだけに、今年もその再来も十分に期待できそうだ。

 投手陣の充実ぶりが目立つのが仙台育英(宮城)だ。昨年秋は東北大会で花巻東(岩手)に敗れてセンバツ出場を逃したものの、この冬は選手の底上げに成功。昨年春のセンバツでも好投した145キロサウスポーの古川翼を筆頭に、12人もの投手が既に最速140キロを超えているという。もうひとつの強みはチーム内での競争だ。これは大阪桐蔭とも通じるものだが、大会が終わるごとにメンバーはいったんリセットされ、そこから結果を残した選手がレギュラー、メンバー入りを勝ち取るという方法でチームは確実にレベルアップしている。有望な1年生も新たに加わっており、夏に向けてさらにチーム力が上がることも期待できるだろう。

 最後にダークホース的な存在として取り上げたいのが帝京(東東京)だ。2011年夏を最後に甲子園出場から遠ざかり、昨年夏には長く指揮を執った前田三夫監督も退任して新たなチームとなったが、この春の東京都大会では早稲田実(西東京)を13対0で5回コールド、センバツでベスト4の国学院久我山(西東京)を6対0と圧倒的な強さで破り快進撃を続けている。投手は既にプロ注目の2年生エース高橋蒼人以外にも力のある選手を揃え、渡辺礼、大塚智也などを中心に打線も強力だ。

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夏には東西の“横綱対決”に期待