「日本全国どこに住んでもOK!」をアピールするフルリモートの求人。少し前までなら考えられなかったような“転職なき移住”も一部企業では認められつつあり、テレワークの普及などから、“出社しない働き方”は浸透し始めている。これからの「働く」をAERAdot.と一緒に考える短期集中連載「30代、40代の#転職活動」。第2回目のテーマは、テレワークのリアル。その前編では、「フルリモート可」の求人に飛びつき転職した、ある男性の話から、隠れた実態が見えてきた。
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【後編はこちら】憧れの「フルリモート職場」のシビアな現実 「安易に応募すると痛い目に」専門家が指摘
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九州地方在住のAさん(38)。昨年、東京から地元である九州に、同郷の妻と子どもを連れてUターンした。「いずれは地元に帰りたい」と考えていたが、東京での仕事や生活も充実していたことから、Uターンは遠い未来のつもりだった。
そんな中、2年前に2人目の子どもが産まれた。妻も共働きで、2人目の出産後も「仕事を続けたい」という希望があったが、東京には頼れる身内もいない。子育て環境も踏まえて考えると、九州に引っ越す選択肢もありかもしれないと考えるようになった。時を同じくしてコロナが広がり始め、時間や場所にとらわれない新たな働き方が広がり始めたことも、決断の後押しになった。
問題は、仕事をどうするかだ。都市部から移住を考えるときに、多くの人にとって目下の課題となるのが、地方でどんな仕事をするかという点だ。当時、Aさんが勤めていたのはIT企業の営業職。リモート勤務は認められていたが、週に1~2日は出社が必要で、地元に引っ越すなら今の会社で働き続けることは難しい。「できれば地元に帰っても、IT分野でこれまで培った経験を生かしたい」と考えたAさんだが、地元企業には「これ」と思えるところがない。そこで目をつけたのが、出社を求められない“フルリモート求人”だった。