■ラジオ講座、TIME…続けられる教材を

 英語学習で大事なのは、自分が興味を持てる教材を選ぶことです。大人になってから文法、単語などの基礎的な学習をくり返すのはつらいですよね。でも、教材の内容に興味があれば持続できるのです。

 私がこの20年ほど聞いていたのが、2021年に終了したNHKラジオの杉田敏先生の講座「実践ビジネス英語」です。語学の勉強だけではなく、アメリカのビジネス社会のトピックスやトレンドがわかるのが魅力でした。内容が面白いから次回も聞こうという気になり、長く続けることができたのです。

 振り返ると、東京大学の学生時代に受けた外山滋比古先生の英語の授業では、『Parkinson’s Law(パーキンソンの法則)』というテキストを使いました。英国の歴史学者で経営学者のパーキンソンが官僚や企業の組織を分析したもので、立派な社屋を建てたら会社は衰退の始まりだとか、組織に人が増えれば増えるほど忙しくなるとか、面白くて今でも内容をよく覚えています。

 カナダとアメリカに行く前には、リスニング対策として雑誌「TIME」の音声版を通勤電車の中で聞きました。これも単なるリスニングの練習ではなく、時事問題を英語で知る面白さがありました。

 50代になってオーストラリアのブリスベン日本国総領事を務め、国連で女子差別撤廃条約に関して日本政府代表として報告したこともあります。英語を話すときはゆっくりでいいからクリアに発音することが大事です。ブリスベンで英語の家庭教師をお願いしていた人から、「日本人は子音をきちんと発音すると英語らしく聞こえる」とアドバイスされ、今もv,f,thなどの子音の発音には気をつけています。

【坂東眞理子さんのおすすめ英語学習教材・ツール】

◇アメリカのビジネス社会を知る
『杉田敏の現代ビジネス英語 2022年冬号』(杉田 敏 著)
ビジネスパーソンの杉田敏さんが33年にわたって講師を務めたNHKラジオのビジネス英語講座は、数多くのファンを持つ。2021年3月に放送は終了したが、『音声DL BOOK 杉田敏の現代ビジネス英語』(NHK出版)が季刊で発行されている。

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