では、これまで国家公務員総合職試験を受けていた層はどこへいったのだろうか。東京大関係者によれば、外資系銀行やコンサルティング企業に流れたといわれている。一部上場企業より大きな仕事を任される、20代のうちから自分の力を発揮できる、そして待遇が良い、といわれるからだ。
国家公務員総合職試験合格者数で前年より合格者数が増えた大学に、地方国立大学もいくつか見られた。4位北海道大(69人→82人)、5位岡山大(56人→78人)、9位千葉大(24人→59人)、9位九州大(47人→59人)など。
一方、国家公務員一般職試験合格者は省庁内で「ノンキャリア」と呼ばれている。彼らは特定分野で専門知識を持ち、経験も豊富ゆえ、「○○の神様」「○○の天皇」と尊敬される人たちもいる。出身校は広島大、岡山大、山口大など地方の国立大学のほか、早稲田大、明治大、中央大、法政大、日本大など、大規模私立大学が多い。
こうした私立大学では、公務員対策講座が充実している。
明治大の行政研究所では公務員試験対策講座を開いている。国家公務員総合職、一般職、地方公務員の採用試験向けだ。大学の正規授業ではない。課外の特別講座として各学年で平日夕方1時間の講義を行い、大学の授業料とは別に受講料として年間6万6000円(3年次は13万2000円)かかる。
安いとまではいえないが、公務員予備校に比べれば半額以下だ。学内にダブルスクールが設置されたといっていい。中央大にも同様な課外有料講座がある。
■外交官に「大学中退者」が多い理由は?
国家公務員の採用では、これらの総合職、一般職とは別に、外務省専門職員の採用試験がある。高い語学力を生かし、関連する地域の社会、文化、歴史などに通じた地域の専門家を登用する試験だ。一方、国家公務員総合職試験に合格して外務省に入り、順調に出世すれば、将来、同省幹部そして海外での日本国特命全権大使になることが約束されている。「外務省キャリア官僚」と呼ばれる。