外務省に勤務すれば家族が海外で生活する機会が増え、子どもは外国語を習得する環境に置かれる。外国人との交流で「国際感覚」を身につけることもあろう。親子2代続けて外交官というケースはめずらしくない。最も有名なのは小和田恒さん、小和田雅子さん(現・皇后)親子であり、いずれも東京大出身だ。
外務省総合職試験の合格者を大学別にみると、毎年東京大が10~20人、他大学は1~4人だ。したがって同省事務次官、審議官、欧米主要国の大使は東京大出身者がズラリと並ぶ。私立大学はかなり少数派だ。
こうしたなか2010年代、外務省事務次官、駐米大使を歴任した杉山晋輔氏は早稲田大出身である。なお、卒業はしていない。その昔、外務省の採用試験は国家公務員試験とは別に行われており、大学3年で合格すれば卒業資格を必要とされず入省できたため、優秀な外交官には「中退」がたくさんいる。
ほかには、飯村豊氏、齋藤泰雄氏が東京大、小松一郎氏(以上、駐仏大使など)が一橋大、藤崎一郎氏(駐米大使など)が慶應義塾大、薮中三十二氏(事務次官、シカゴ総領事など)が大阪大を中退している。
現在、外務省採用は国家公務員総合職試験に統合されたため、大学卒の資格が必要となり、大学中退で外務省キャリア官僚が生まれることはない。
外務省専門職員試験合格者は東京外国語大のほか、大阪大、上智大など外国語学部がある大学が多い。
2007年、大阪大は大阪外国語大と統合したことで、大阪大外国語学部からの外交官がいっきに増えている。
創価大は2008年から21年までの14年間で11人の合格者を出している(08、12、19年は合格者なし)。同大学は2014年法学部に「国際平和・外交コース」をスタートさせ、こう鼓舞している。
「外交官をはじめ、国際機関、グローバル企業など、グローバル・キャリアの養成に一層力を入れていきます。あなたも法学部で外交官を目指し、世界に羽ばたきませんか!!」(創価大ウェブサイト2016年9月21日)
なお、外務省専門職員試験合格者のなかでもっとも有名な言論人がいる。作家で同省主任分析官をつとめた佐藤優さんで、同志社大出身である。