97年、事故死したダイアナ元妃への弔意が遅れ、国民の感情とのずれを自覚した同王室は、最新の広報活動へと舵を切る。今では96歳のエリザベス女王もインスタグラムの公式アカウントを持っていて、フォロワーは1115万人。それを超えるのがウィリアム王子とキャサリン妃の公式アカウントで、1391万フォロワーがいる。
人気を支えているのが、プライベート写真。公式行事でのオフショットもあるが、ケンジントン宮殿内などの様子もアップ。最近の一番人気は、父の日のウィリアム王子と子どもたちの写真。次男のルイ王子が肩車されていて、96万超の「いいね!」がついている。
こういった「ほほ笑ましい系」の投稿もたくさんあるが、それだけでないのが2人のインスタだ。例えば、6月20日にはウィリアム王子が表紙の雑誌「ビッグイシュー」がアップされた。
英王室の広報戦略
ホームレス支援を目的とするこの雑誌を王子がお忍びで販売したのが6月初め。その時すぐにはアップせず、ビッグイシューとホームレス支援への思いを王子が語る号が発売されてから、その号の表紙をアップしたのだ。
「いいね!」は6万9千で「父の日」よりは少ないが、王子の活動は十分広まった。よく練られた広報戦略に基づいたインスタだと思う。
だから陛下と雅子さま、そして愛子さまも3人で公式アカウントをつくってはどうだろう。ご一家なら、英語でもスイスイ投稿できる。世界中に存在がアピールされる。
国民との回路が消えてしまったまま米国へ旅立った眞子さんの例もある。日本の皇室、SNS待ったなしだ。来春、また皇居で養蚕が始まる。次はインスタグラムで「陛下と雅子さまと愛子さまと蚕」を見たい。(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2022年8月1日号