
○鎌倉の有名なアジサイ寺
長い前置きになったが、梅雨の季節といえばやはりアジサイ。そしてアジサイが生える場所といえばお寺である。いくつか有名どころをご紹介しておこう。
アジサイ寺といえば、なんと言っても鎌倉である。特に北鎌倉一帯ではどこのお寺もアジサイが美しく咲き乱れている。境内全域に3000株ものアジサイが咲く「明月院」。9メートルを超える大きさを誇る長谷観音で知られる「長谷寺」をはじめ、極楽寺、成就院、建長寺、円覚寺、浄智寺など各寺院のほかにも御霊神社や鎌倉宮、鎌倉中央公園などでも咲き誇る各種アジサイを楽しむことができる。
○全国的に有名なアジサイ寺とは
有名な箱根登山鉄道沿線のアジサイは夜間にはライトアップされるし、近年よく整備され始めた公営の公園は広大で美しい景色をみせるが、やはり古いお寺のお堂や社殿などが濡れたアジサイの中に佇む姿はアジサイにも気品を感じさせてくれる。たとえば京都の福知山・丹州觀音寺、宇治・三室戸寺、大原三千院、奈良・矢田寺、埼玉・能護寺、千葉・本土寺、茨城・雨引観音などは代表例といえるだろう。(全国にはもっと有名どころはいっぱいある)
○梅雨を体現するタチアオイの花
さて、梅雨といえばもうひとつ有名な花がある。それは梅雨入りと梅雨明けを知らせると言われる「タチアオイ」である。梅雨入りの頃に咲き始め、てっぺんに花がつくと梅雨明けと言われる花である。
タチアオイは家紋の代表的なモチーフで、有名なところでは本多忠勝で知られる本多氏の家紋で、これを本多葵とも称されている。これが変形したものが、徳川の葵の御紋となるのだが、実際のタチアオイの葉っぱとはあまりに似ていない。立葵の家紋はどこから来たのだろうと探してみたら、原型は京都・賀茂別雷神社、立葵の形としては善光寺の社紋だった。
そういえば、今年、善光寺は6年に一度のご開帳が6月29日まで開催されている。お寺の開帳はお堂内の虫干しも兼ねて始められたという説もあると聞く。やっぱり梅雨は黴雨からきているような気がしてきた。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)