その他の候補では、自慢のスピードに得点力も身に付けて今季J1で6得点をマークしている20歳の万能ストライカー・細谷真大(柏)は、先月のU-23アジア杯でも印象に残るプレーを見せてさらなる飛躍を感じさせた。さらに、今季のJ1で上田の10得点に次ぐ日本人2位の7得点を挙げている22歳の長身ストライカー・町野修斗(湘南)も招集メンバーに入れてもらいたいところ。Jリーグで結果を残している選手をしっかりと評価し、チャンスを与えるべきだ。
もう一つ、W杯本大会を見据えた場合に選手層を厚くしたいのが中盤の3センター、特に遠藤航のバックアップだ。惨敗した6月のチュニジア戦や4位に終わった東京五輪でも、遠藤の疲労蓄積によるパフォーマンス低下がチームの勝敗に大きく影響した。現状、守田英正が「ポスト・遠藤」の第一候補になるが、守田がインサイドハーフでスタメン出場した際には一気に人材不足に陥る。万が一、遠藤が故障離脱する可能性も考え、代役は見つけておくべきだ。
候補は多くいる。“和製カンテ”と呼ばれる24歳の橘田健人(川崎)は、その称号の通り、豊富な運動量でピッチを幅広くカバーし、高いボール奪取能力で相手の攻撃の芽を摘む。王者・川崎のパスサッカーにも順応しており、代表でも即戦力として期待できる。経験を重視するならば、日本代表に加えて海外でもプレーした28歳の橋本拳人(神戸)がいる。球際に強く、危機察知能力に優れたMFで、近年は得点能力も開花させてボックス・トゥ・ボックスで勝負できる。FIFAの特別処置が延長されたために引き続き日本でのプレーが可能となったこともあり、満を持しての代表復帰で自らの実力を再び証明してもらいたいところだ。
成長率に賭けるならば、20歳の藤田譲瑠チマ(横浜FM)だろう。広いプレーエリアの中で強さと巧さを見せることができる中盤のダイナモ。ナイジェリア人の父を持ち、東京Vユース時代から将来を期待されていた逸材だが、今季は優勝争いの中で大人びたプレーを見せ、先月のU-23アジア杯ではキャプテンマークを巻いて出色のプレーを披露した。ここ最近の成長ぶりは目を見張るものがある。物怖じしない性格で、A代表でも即チームに順応できる可能性は大いにある。