AERA 2022年7月4日号より
AERA 2022年7月4日号より

「日本の地層には『弱いところ』があります。目に見える活断層がある場所や、新しい地層がグニャグニャ曲がっているような場所は過去に巨大地震が繰り返し起きた場所と言え、注意が必要です。政府の地震本部は活断層のなかでも主要な114の断層を『主要活断層』として注視しています。過去の爪痕が特に大きい場所ですから、指標のひとつにするといいでしょう」

 自分が住んでいる場所や仕事場などの揺れやすさを把握しておくことも有効だ。地盤には強弱があり、ごく近い場所でも全く違った揺れ方をすることは少なくない。能登半島の地震で大きく揺れた珠洲市正院(しょういん)は、これまでの地震でも周囲より大きな揺れを計測することが多かった。防災科学技術研究所が提供する「地震ハザードステーション」では、揺れやすさの指標である地層の地盤増幅率を250メートルメッシュで確認できる。

 繰り返すが、想定していなかった場所で突然地震が起きることもあり、災害への備えは欠かせない。一方で、「今回の地震が南海トラフの巨大地震につながる」といった珍説に惑わされるのも適切ではない。水本さんが言うように、備えつつ、データをもとに正しく恐れたい。(編集部・川口穣)

AERA 2022年7月4日号より抜粋

>>【前編/石川・珠洲市の群発地震と「流体」の関係 M7クラスが起きる可能性は】

著者プロフィールを見る
川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

川口穣の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
「更年期退職」が社会問題に。快適に過ごすためのフェムテックグッズ