視聴率は絶頂期の半分となったNHK紅白歌合戦。写真は第63回(2012年)の時の様子(C)朝日新聞社
視聴率は絶頂期の半分となったNHK紅白歌合戦。写真は第63回(2012年)の時の様子(C)朝日新聞社
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 今年も「NHK紅白歌合戦」が近づいてきた。50回連続出場中の五木ひろしが「紅白引退」を表明したり、ピアノユーチューバー・ハラミちゃんのゲスト出演がうわさされたりと、さまざまな話題が飛び交っている。

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 ただ、かつてほど視聴率が取れなくなり、国民的番組としてのステイタスが下がってきたのも事実。はっきりいって、もう限界というか、そろそろ終わっていいと感じている人もいるのではないか。

 それもある意味、仕方ない。紅白の寿命はすでに、尽きようとしているのだ。

 その70余年もの歴史を振り返るとき、現在は第3期といえる。第1期はラジオのみでのスタート(1951年)から、怪物番組としてのかたちができあがる第8回(1957年)あたりまで。第9回(1958年)からは、大みそかの夜に2時間40分(のち、45分)紅白20数組ずつが登場して歌うというスタイルが確立して、日本の風物詩となった。

 このスタイルは第39回(1988年)まで続き、視聴率は最高で80%台、悪くても50%台だった。これが第2期であり、いわば全盛期でもある。

 しかし、第40回(1989年)に大きな改革が行われる。放送開始が19時台となり、二部制が導入された。音楽の好みの多様化や誰もが知るヒット曲の減少といったものへの対処でもあり、これを機に懐メロが増え、ひと組あたりの持ち時間も長くなっていく。また、本会場以外の場所からの中継や、本番当日のサプライズ出演、さらには巨大衣装対決やけん玉でのギネス記録挑戦といった歌とはあまり関係のないエンタメ要素も盛んに取り入れられるようになった。

 この結果、その年の歌謡界で選ばれし者が集う真剣勝負という魅力は薄れたものの、延命にはつながったかもしれない。終盤に登場する歌手を若返らせるため、ベテランには第1部のトリを任せるという手法も編み出せた。前出の五木も昨年、第一部の大トリで歌ったのを区切りに、紅白を去ったわけだ。

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裏番組に視聴率が抜かれた2003年