そんな怪物感を失いつつある紅白の姿は、今年引退した球界の怪物・松坂大輔にも通じるものだ。彼がいくら腕を振っても110キロ台の直球しか投げられなくなったように、紅白がいくら頑張っても取れる視聴率は絶頂時の半分でしかない。
紅白ファンを自認する筆者でも、そろそろお疲れさまと言いたくなる、というのは大げさだろうか。
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など