急な留学中止に見舞われ、春学期の留学も先が見通せない状況に、留学予定だった学生の反応はさまざまだ。「院に行くべきかどうか、留学を通じて進路設計を見直したいと思っていた」という米国留学予定のAさん(文学部・4年)は春学期のみでも留学をしたいと申請した。現在は状況の不透明さに戸惑いを感じる中、留学の完全中止を見越して就活も行う予定だという。一方秋学期留学中止の報を受け「心機一転、いち早く就活をするというふうに気持ちを切り替え」たというフランス留学予定のBさん(教養学部・3年)は、すでに春学期の留学も取り下げた。東大からの学生派遣を担当する本部国際交流課の藤本順子係長によると、今年度留学予定だった学生の半数弱が同様に春学期も含めた留学を辞退したという。
今回の東大の対応自体に対し、留学予定の学生からは「(国内の)他の大学に比べて、厳正かつ迅速な対応だったと思う」(教育学部・3年)など判断の早さを評価する反応が目立つが、中には「一度内定を出した学生に対し(代替の)選択肢が少ない気がした」(法学部・3年)という声も。元々1年留学予定だったからといって来年の秋以降の留学に自動的に参加することはできず、希望する場合は再応募になる。これは秋―春の年度ごとに毎年交換枠の数を協定校と確認し合っており、来年度の増枠を確保する保証ができないためだ。「特に東大生に人気の米国の大学などは常に派遣過多になっているため、来年度『昨年行けなかった学生も受け入れてください』とは言えない」と藤本係長。長期の留学を志す学生にはぜひ再応募をしてほしいと願う。
その他、一部の学生からは一律で秋の留学を中止したことに対して「自分の派遣先は感染症の状況が落ち着いてきているため、派遣先ごとに判断してほしい」という声もあったというが、国・学校ごとによる可否の判断は困難を伴う。グローバル化の進んだ世界において、ある国の大学から来る学生がその国出身とは限らない。国単位での判断には様々な問題があると矢口教授は懸念する。春学期も秋学期と同様、一律でプログラムの開催可否を決める公算が大きい。