参院選が公示され、7月10日の投開票に向けて選挙戦がスタートした。選挙結果だけでなく投票率も注目される。特に国政選挙で若者世代の投票率が伸び悩んでいる。なぜか。「参院選」を特集したAERA 2022年7月4日号の記事を紹介する。
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「地域の課題を改善しようとする人たちがこんなにいるんだと希望を持ちました」
茨城大学4年の大金咲由莉さん(21)は、1年時に市議のもとで2カ月経験したインターンをそう振り返る。一方で、若者の参加を呼びかけたのにもかかわらず、市議のタウンミーティングに集まった人たちは50~80代と中高年だったことが気になったという。
「私もインターンじゃなかったら、行かなかったかもしれない。政治好きな年上の人たちに『君はどう思う?』とガンガン詰められると困ってしまう」
大学生の議員インターンシップを運営する「ドットジェイピー」理事長の佐藤大吾さんは言う。
「インターンを経て、さまざまな思いを抱くでしょう。ただ、報道を通してしか政治を知らなかった学生が、経験に基づいた自分の意見を持つようになることが大切だと思います」
若者にもそれぞれ問題意識はある。だが、10~30代の投票率は他世代と比べて低い。前回の2019年参院選ではいずれも30%台だった。その原因について、投票行動に詳しい早稲田大学の日野愛郎教授はこう指摘する。
「若者と政党の間でミスマッチが起きています」
日野教授は昨年の衆院選で、性別、年齢の人口分布に沿う4800人超にインターネットで意識調査をした。29歳以下に「選挙の争点」を聞くと、30歳以上に比べて同性婚の合法化、コロナ問題、候補者の男女均等化、候補者の被選挙権年齢の引き下げ、高等教育の無償化などを挙げる人が多かった。だが、実際に投票に結びついた争点は、憲法改正、沖縄基地問題などだった。つまり、自分の関心とは別の判断基準で投票していたことがわかった。
日野教授はこう分析する。
「いつも感じている課題がある一方、選挙前になると憲法や外交安全保障の問題に切り込む報道などが増えるから、『選挙はこう選ぶもんだ』と若者が思わされるのかもしれません。もしくは、自分の感じる課題が選挙前にさほど話題にならず、そういう課題解決を公約に掲げている政党があるか認識できないまま、入れたい政党がないと思って棄権してしまうのではないでしょうか」
わからないのが普通
各党に政策提言する超党派の若者団体「日本若者協議会」のメンバーで、早稲田大学1年の芹ヶ野(せりがの)瑠奈さん(20)は言う。
「政党のウェブサイトに情報が書かれていますが、1時間調べたくらいでは、どの政党に入れたらいいのかわからないのが普通だと思います。投票をするにはニュースや国会の中継から今の日本社会の流れを把握することも大事ですが、それも難しいと思います。そう突き詰めると、よくわからないから棄権する人、とりあえず有名な自民党に入れようという若い人の気持ちもわかります」