あれから13年も経っているのだから、久しぶりに食べてもいいだろうと、私はまだ温かいトンカツ弁当も買って家に帰った。弁当にはひとつまみのきんぴらゴボウと、3切れの小さな大根の漬物が入っているだけで、明らかに野菜が足りない。私は野菜がないと、肉や魚を食べられないので、小松菜、ほうれん草、玉ねぎ、しめじ、スナップエンドウを簡単に水炒めして、それと一緒に食べた。トンカツはとてもおいしくて、元気が出るような気がしたが、以前のように続けて食べたいとは思わなかった。我ながら週に3回、食べていたなんて信じられなかった。

 トンカツを食べたいからといって、豚肉を買って家に帰って一から調理するのは、その日の体の状態ではとても無理だった。かといってすでにトンカツ弁当に目を奪われていたので、買うのをやめるのはとても辛かった。油分もカロリーも高いけれど食欲のほうが勝った。そして翌日からは、またちまちまと自炊の日々になった。食事のバリエーションも少ないし、とにかく簡単に栄養が摂れるような、料理ともいえない拙い代物だが、やっぱり自分で作ったもののほうが口に合った。

 前号でお惣菜の濃い味の調節の仕方を教えてくれた彼女は自営業で、ふだんは朝7時すぎに家を出て、電車に乗らずに25分歩いて職場に行き、平日は家に帰るのは8時過ぎになる。それなのに到来物のお惣菜はいただくけれど、自分ではお惣菜を買ったことがないのだそうだ。彼女は、「出来合いのお惣菜を買うくらいなら、気に入っている店で外食をする」という。しかしそんな店は価格が高く、気軽に行けないのが難点と嘆いていた。

 自分では買わなくても、仕事のお付き合いの関係で、さまざまなものをいただく。人は自分が食べたいものを人にも送りがちなので、最近は特に甘いもの、味の濃いものが多くなった。なかにはどうやっても調節不可能のものもあるので、そういった場合は、冬はとにかく根菜類の温野菜サラダをたくさん作って食べるようにしているといっていた。

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