毎日、鍋という手もあるが、それもちょっと辛い。それならば煮物を作って何回かに分けて食べたほうが都合がいい。といっても最近は冬でも作り置きは安心できないのでほどほどの分量にしなくてはならない。小松菜、ほうれん草などと豚肉の常夜鍋が、私としてはちょうどいいところである。

 久々のトンカツ弁当は食べて満足したけれど、いまだにまた食べたいとは思わない。私にとっては特別な食べ物になったらしい。対面売り場に関しては、原稿を書いているうちに、私も若い頃、鶏肉売り場でもも肉1枚がどれくらいの分量かわからず、

「200グラムください」

 といって、売り場の人を困らせたことを思い出した。マグロの女性も恥をかいたけれども、店のおじさんが教えてくれたおかげで、少なくともマグロに関してはこれからは大丈夫だろう。大それた料理を作る必要はないけれど、最低限、自分で御飯を炊き、味噌汁を作るくらいは経験したほうがいいと思う。小学校の家庭科の調理の授業を思い出したり、その経験がなかったとしても、自発的に家で何度か試してみれば、ある日、作ってみようとしたときに、必ず記憶に残っていてできるはずなのだ。そうなったらみんなの生活偏差値が上がるのになあと私は思うのである。

※『一冊の本』2019年1月号掲載

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