人生は一度きりで体も一つきりですから、私はこの特徴がない人生がどのようなものだったかは永遠にわかりません。自分とは違う体を持った人の生き心地はわかりません。わからなければ、せいぜい尋ねるしかないですね。どうしたの? 何か困っていることはない?って。

 先日は「今日はヘアメイクさんがつかない仕事なので自前メイクですよ」と散々マネージャーがLINEでリマインドしてくれていたにもかかわらず、素顔で化粧道具も持たずに現場に行ってしまいました。慌ててタクシーで自宅にとって返し、大急ぎで化粧をしながら、そうか私、LINEのメッセージをちゃんと読んでないんだ、と気がつきました。いくらマネージャーに「私、すぐ忘れちゃうからリマインドしてね」と言っても、ちゃんと読んでいないなら意味がありません。それすら、こうして忘れ物をしてからようやく「ああ、目では見ていたけどちゃんと読んでなかったんだ」と気がつくんですね。不注意というか早とちりというか雑というか、自分でもどうしてこんな体たらくなのだろうと情けなく思うのですが。

 おそらく、執筆中や買い物中など何かに集中しているときにLINEのメッセージが届き、手は反射的にメッセージを開封して目は画面を見ているのだけど、脳みそは書いている原稿の中身とか新しいコートを買うかどうかとか、今考えていることから離れられないので、マネージャーのメッセージがなーんにも頭に入らないのだと思います。よほど意識して「よしLINEを開けるぞ、メッセージを読むぞ、読んだら中身を記憶するぞ、どうだ何が書いてあるかわかったか? メイクさんがつかないので、メイク道具持参のこと、とあるな、忘れないようにしないとな、明日はメイク道具持参、メイク道具持参な、メイク道具持参!!」と頭の中で声出し確認(周囲に誰もいないときは実際に独り言で確認)しないといけないのです。

 マネージャーはとても気がきく親切な人なので、それ以降は、ヘアメイクさんがつかない撮影がある時には、メッセージにビックリマークがついた黄色い三角印の絵文字をつけてくれるようになりました。これは目を引くので、メッセージを開けた時に脳みそが「なんかあるぞ」と注意を向けやすくなります。私の周囲の人、特にスケジュールなどの連絡をする係の人は、こうした細かい工夫を重ねて、お互いに困らないようにしてくれるのでとても助かっています。新聞社で一緒に仕事をしている人も、先日私が出演したNHKの発達障害の特集番組を見て「何か必要な工夫があったら言ってくださいね」と言ってくれました。とても嬉しかったし、安心して要望を伝えることができました。周囲の人が理解してくれるって、本当に大事なことですね。

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