■暗黒時代の中学3年間

 さて念願叶って入った志望校でも私のこの両極端な特徴は変わらず、それに思春期の屈折も相まって、入るなり先生に反抗的な態度をとるわ、友達と仲良くなりたいのにそのやり方が間違っているので相手が困惑するわで、悪目立ちしていました。

 友達と仲良くなりたい時に、どうするものでしょうか。私はちょっかいを出すという最もリスクの高いやり方を選択しがちでした。隣に座っている子の教科書に落書きをする、机を前後逆にしておいて困らせる、並んで歩いている時に意味もなく体当たりする、下品な冗談を連発して気を引こうとする、友達が入っているトイレの個室にトイレットペーパーを投げ入れる、などなど。自分としては「一緒にふざけている」という感覚なのですが、当然のことながら相手は当惑し、迷惑し、嫌がらせをされていると感じることもあります。当時は「相手の気持ちを想像する」というのがどういうことか、さっぱりわかりませんでした。どうして自分にはそれができないのか、何か重大な欠陥があるのではないかと悩んだものです。

 さらには先生の話の途中で唐突に口を挟んだり、授業中に前後左右の子に話しかけ続けたり、テスト中に独り言を言ったり。中1の1学期の終わりには4クラスの担任が集まった部屋に呼び出され「君は高等科に進むまではブラックリスト入りだ」と宣告されました。

 そこから3年間は暗黒時代でした。何の苦労もなく友達と仲良くなり先生にも好かれている子が妬ましくてなりませんでした。家に帰れば母と口論、学校では鬱屈した問題児。2時間近い通学で満員電車に揺られながら、自分の居場所なんてどこにもないから死んでしまいたいと思っていました。こんなに無様でみっともない自分とは一緒に居たくない、こいつを殺してしまいたいと。当時は毎晩ラジオを聴くのだけが楽しみでした。ラジオにはおかしな投稿をしてくる変人がいっぱい集まっていたし、それを面白がる大人がいて、私はゲラゲラ笑いながら「なんだ、話のわかる人はたくさんいるじゃないか」と心強く思ったのです。

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