「これよりももっと薄くするのよ。ほとんど味が感じられないくらい」

 それだったら大丈夫かなと思ったけれど、だしと違って煎じ液自体に旨味があるわけではないので、旨味の出る食材を中に入れないと、難しそうな気がした。結局、いちばんいいのはスープだろうと納得した。ちなみに市販されているエキス錠を水にとかしても効果はなく、生薬を使わないとだめだそうである。

 漢方薬局の先生から十全大補湯の生薬をわけていただいたが、生薬を冷凍庫に入れたままで使っていない。私にバテる気配がないからである。ただこれから何があるかわからないので、この情報を教えていただいたのはありがたかった。

「きちんとバランスのとれた食事を摂っていれば、漢方薬を含めて薬は飲む必要はない」

 先生がまず患者に聞くのは、何を食べているのか、ということだ。私が甘い物を食べ過ぎて体調不良になったように、ある人は酒を飲み過ぎ、ある人はきちんとした食事を摂っていなかったりする。それが改善されれば、格段に体調は変わっていく。

「そういうことをみんなにわかって欲しいんだけど。みんな何も考えないで、ただ食欲にまかせて食べればいいと思っているから」

 先生はいつも嘆いている。私もたまに周囲の人の食生活を聞くと、えっとびっくりすることが多い。梅雨バテ、夏バテになる人は、毎日、口から体内に入れているものを、少し見直してみたほうがよいのではないかと思っている。

※『一冊の本』2018年8月号掲載

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