別人だったら良かったのに、と思います。私を苦しめた人と、救ってくれた人が別人だったら良かったのに。そうしたら世界はもっと単純で、幸せには痛みが伴わずに済んだだろうに。
これのどこが発達障害の話だよ?とお思いでしょう。まあでも、発達障害の話と言えなくもありません。発達障害が周囲に理解されず適切なケアを受けることができないと自己肯定感が低下し、人間関係に困難を感じるようになって、摂食障害や不安障害などの二次障害を引き起こすとも言われています。それを知ったとき、なるほどそうだったのか! じゃあ私はいわば王道なんだな。なんでこんなになんたら障害が多いのだろうと思っていたけど、セオリー通りならしょうがないやと納得したのですが、次第にそんなに単純な話でもないと思うようになりました。
障害のあるなしにかかわらず、人はとても複雑で得体の知れない存在です。得体の知れないもの同士が共存するためには、物語が必要です。筋書きに沿って世界を眺めれば、見なくていいものは見ないで済むし、見たいように見ることもできるからです。それでも辻褄が合わないことはいくらでもあるので、心身を壊したりするのでしょう。
なんだかスッキリしないでしょう。私もできればスッキリと説明したいのですが、それはまた新たなストーリーを仕立てていろんなものをなかったことにしてしまうことになりかねないので(こうして書き物にしている時点でどうしたってそうした加工は免れないのですが)、この気持ち悪い状態のまま置いておくことにします。