そうであれば、何事も早め早めに行動するようにすればいいですよね。ところがそうできるのは10回に1回ぐらい。いつもバタバタと、目の前に山積した問題を片付けるのに追われています。
大人のADHDについて調べると「難しい仕事を後回しにしてしまう」という特徴があると書いてあります。これは説明しても絶対にわかってもらえないだろうと思うので、本当は書きたくないのですが、よくわかります。
やらなくてはならないことがあるのに、なかなか取りかかれない。やろうと思うと頭が重たく詰まったようになって、その感覚から逃れるために他のことをしてしまうのです。今読まなくてもいい仕事の資料を読み始めてしまうとか、ツイッターを見るとか本を開くとか、とにかくやるべきことと違うことをすると重苦しい感じが取れる。で、またやらねばなと思うと、透明な壁に突き当たったような感じで呼吸が浅くなり、体も置きどころがないような感覚になるのでまた違うことをして楽になる……不快感や説明のつかない苛立ちのようなものに邪魔されて、なかなか行動に移せないのです。
当事者研究で知られる熊谷晋一郎さんは、精神障害や発達障害は「心がけが悪い」「意志が弱い」などの負のレッテルを貼られやすいと指摘しています。そのためには当事者の語りを聞くことが大事だと。
聞いたところで「言い訳だ」と笑う人が多いのかもしれません。でも何も言わないと、本当にただのだらしない人だと思われてしまうので、こうして説明することも時には必要なのでしょう。
脳の機能障害は、足が動かないとか目が見えないというのと違って、他人からはどこがどう「普通と違っている」のかが見えにくいものです。加えて多くの人は「脳は意志の力でコントロールできる」と信じているので、うまくできないことがあるのは心がけが足りないからだと思いがちです。