すると駅周辺にはたいてい私と同じように切羽詰まったセーラー服がウロウロしているので、タクシーに相乗りして学校まで行くのです。当時の初乗りは470円から520円。バレないように先生の死角で降りて、授業開始の本鈴と同時に教室に滑り込む……高校生がタクシー割り勘なんて、いかにもバブル期らしいですね。月に5万から8万も小遣いをもらっているような同級生もいましたが(親は何を考えていたんでしょう)うちにはそんな余裕はなかったので、お小遣いは月に数千円。毎日タクシーに乗るわけにはいきません。仕方なく駅から学校まで走るのですが、運動部で鍛えているわけでもないので息が続かない。
結果として、遅刻常習犯でした。そこから今に至るまで、私はずっと遅れ続けているのです、明日こそ、間に合う人になろうと思いながら。(続)
※『一冊の本』2019年2月号掲載
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