だが、その後は2015年度に宿泊施設利用者数が308万人まで回復し大きな話題となった。そんな市場を狙って今、熱海では日本資本と中国資本が入り乱れてホテル用地争奪戦が盛んなのだ。
熱海・伊豆・箱根の別荘、ホテル、リゾート物件のマーケット情報に詳しい、伊豆海山(いずみやま)不動産鑑定事務所の柳田毅不動産鑑定士は、「今の熱海のホテルラッシュはおそらくバブル期以来だ」と話す。そこで当サイトでは、柳田氏や地元の不動産関係者などの協力を得て、ここ最近の熱海における宿泊施設への投資計画を調査した。その結果が【表1】だ。
柳田氏によると、不動産投資の大きな流れとしては以下の4つがある。
(1)既存施設の取得やリブランドなど(【3】【9】【11】【12】【13】)
(2)熱海ですでに事業をしている企業の追加投資(【1】【2】【4】【5】【7】【8】)
(3)宿泊施設の新規オープン(【6】【10】)
(4)(1)~(3)いずれかの目的で取得したが、転売に変更(【14】【15】【16】)
(1)は老朽化した、もしくは空室だった物件を取得し、業態転換やリブランドするパターンだ。少し前の「伊東園ホテルズ」や米系資本ベインキャピタルの「大江戸温泉物語」などが、その典型だ。最近では買収対象の古いホテルが減ったため、閉鎖された保養所や老朽化した店舗ビルなどを取得し、宿泊施設に用途転換する事例が増えている。
(2)は、カトープレジャーグループ(熱海ふふ)や共立メンテナンス(ラビスタ伊豆山)など、熱海にある他の既存施設が好調といった理由で追加投資するパターンだ。例えば、【7】の共立メンテナンスの「ラビスタ熱海」は、熱海パールスターホテルに隣接する地に建てられることが今年8月に分かった。13棟、327室からなるリゾートホテルで、来年3月着工、2022年12月末完工を予定している。
(3)については、例えば【10】のプリンスホテルが熱海に新規参入することが、今年10月に明らかとなった。「どのブランドで出店するかなど、まだ公表できる段階にはない」(広報担当)が、近々発表される見通しだ。