ナッツの意義に気がついたところで、Kevinからマリファナ以外のドラッグのセールストークが始まったところで頃合いかと思って、その場を退出させてもらったのだった。
彼と話して、ほかにもあれこれ取材を重ねていくつか気がついたことがある。ニューヨークのような大都市の場合、裏社会的な場所というのが存在しないのだ。むしろ、裏社会と接点のある人がいて、その人と接点を持つことが裏社会に触れることになる。例えばそれは、ドラッグと出合えるような場所があるのではなく、誰がドラッグを扱っているのか知っていれば買うこともできるということなのだ。似て非なる違いを理解すると、大都市の裏社会の存在も今と違って見えてくるだろう。
(文/ジャーナリスト・丸山ゴンザレス、イラスト/majocco)