生産者側がこだわるのは、消費者にもこだわりがあるからだ。実はマリファナは、効能によって選ばれるほど品種が多い。オランダやジャマイカでは世界的な品評会も開催されている。端的にいえば、こだわりの詰まった農産物なのだ。アメリカでは現時点でドラッグの一種に分類されるが、嗜好品の位置づけに近いものがある。好きであればあるほど、良いものを求めるのだ。


(イラスト/majocco)
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 さて、このインタビューの最中、ずっと気になっていたことがあった。それは、マリファナの隣に置かれている皿に入ったナッツである。ビールのツマミとして、Kevinが出してくれたものなのだが、私は以前にもドラッグの売人の取材をした際に同じくナッツを出されたことがある。これはもしかして……ドラッグの売人特有の好みでもあるのだろうか。

 考えても仕方ないので聞いてみることにした。

(イラスト/majocco)
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「Do you like nuts?」(ナッツ、お好きなんですか?)

「Yes.」(好きだよ)

「I have a question. I had ever seen Japanese drug sellers also eat nuts. Is there a special reason?」(日本のドラッグの売人も、よくナッツを食べているんですよ。これって特別な理由があるんですかね?)

(イラスト/majocco)
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「I have no idea. It's just delicious,right?」(知らないよ。ただ、美味しいからじゃないか?)

(イラスト/majocco)
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 いまひとつ納得ができない気もしたが、その後もビールを飲みながら談笑は続いた。そうしていると、ナッツの意義について思うことがあった。ドラッグ系のスラングでは、このようにリラックスしてダラダラ過ごすことを「chill」と言う。終わりを定めずに、ただゆっくりと会話を重ねていく。そんな状況には、腹にたまる料理や甘いスイーツよりも、同じペースで食べ続けられるナッツが案外と向いているのかもしれないと思った。ただ、それだけのことではあるが。

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