2015年8月、戦後70年の談話を発表した安倍首相(当時)
2015年8月、戦後70年の談話を発表した安倍首相(当時)

 これは、安倍元首相の「70年談話」の中に、〈あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません〉という文章があることなどから、旧安倍派など自民党保守派に、「謝罪を繰り返すような新たな談話は不要」という意見があることを踏まえたものだとみられている。

 だが、旧安倍派議員は、個人的なメッセージであっても、党内でリベラル寄りとされる石破首相が、安倍元首相の談話と異なる内容の見解を示し、首相談話が上書きされることを警戒しているのだ。

SNSで「これ以上の戦後談話は不要」

 旧安倍派の西村康稔元経済産業相は7月29日、自身のX(旧ツイッター)に、次のように投稿し、石破首相の戦後80年メッセージが不要だと主張した。

〈戦後70年談話は、安倍晋三総理が、戦後に終止符を打つために、有識者による懇談会など様々な意見を踏まえながら丁寧に時間をかけてまとめられたものです。当時、そして今も、多くの国民によって支持されているものと理解しています。また70年談話には結びにおいて、戦後80年、90年、100年に向けて日本の国づくりの理想を語っており、そうした意味でもこれ以上のいわゆる戦後談話は不要と考えています。無用な混乱を招くおそれもあります〉

 これについて昨年の総裁選で石破首相を推した衆議院議員のB氏は憤る。

「石破首相は必ず戦後80年で見解を出すはず。西村氏がXで書いている『談話は不要』なんて、ありえません」

 村山元首相の談話を出す時の会議にも出席したという政治評論家の田村重信氏はこう話す。

「村山元首相の談話を出す際は、村山氏のカラーをどうやって出すかを論議しました。当然、石破首相もどうやって独自のカラーを出せるかと検討されているはずで、安倍元首相とは違ったものになるでしょう。旧安倍派の人たちが安倍談話のカラーと違ったものになることを問題視しているようだが、それは石破首相が判断することです」

次のページ テレビ番組で明かした旧安倍派幹部が「一致した」こと