7月29日、復帰戦で本塁打を放ったヤクルト・村上(日刊スポーツ)
7月29日、復帰戦で本塁打を放ったヤクルト・村上(日刊スポーツ)
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 どん底の最下位に沈んでいたヤクルトが息を吹き返してきた。7月29日のDeNA戦でコンディション不良から103日ぶりに1軍復帰した村上宗隆が今季初アーチを放ち、5-1で快勝。翌30日の同戦では山田哲人が球団新記録となる通算305本塁打を放ち、2-1で接戦を制して3年ぶりの8連勝となった。一時は借金が26に膨らみ、5位との差は10.5ゲームも離れていたが、あれよあれよと5位・広島が3.5ゲーム差に急接近。3位・DeNAとも6.5ゲーム差で、今後の戦い次第では逆転CS進出に光が見えてきた。(データは7月30日終了時)

【写真】球団新の305本塁打、この人の打撃が上向いてきた!

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 不動の4番が復帰し、打線に太い芯が通った。29日に4番・三塁でスタメン出場した村上は、それまで29イニング連続無失点を続けていたDeNAのエース左腕・東克樹の直球を左翼席に運ぶ先制弾。復帰戦の初打席で最高の結果を出した。30日にバウアーから決勝打となる6号本塁打を放った山田も、打撃が上向いている。前人未踏のトリプルスリー3度達成という実績を持ちながら、度重なる故障も影響して近年は打撃が下降線をたどり、今季も79試合出場で打率.222と苦しんでいたが、7月に入って打撃好調で現在5試合連続安打、月間打率.295と状態が上がってきた。31日にはフィリーズ傘下の2Aから自由契約になった青柳晃洋が入団会見を開いた。阪神時代に2年連続最多勝などの実績があり、コマ不足が深刻だった先発陣の貴重な戦力として期待値は高い。

 他球団のスコアラーは「今のヤクルトは強いですよ」と警戒を強める。

「春先から借金が膨らんでいましたが、我慢強く起用していた岩田幸宏、赤羽由紘、内山壮真、伊藤琉偉ら若手たちが1軍の環境に適応して力を発揮するようになってきた。投手陣もリリーフが整備されたことで試合運びが安定しています。2021、22年にリーグ連覇を飾っていますし、決して弱いチームではない。勢いに乗らせたくないですね」

 今年のチーム得点243はリーグ5位だが、役者がそろえば打線はリーグ屈指の破壊力だ。村上の復帰に続き、右膝後十字靱帯損傷で4月下旬から長期離脱していた長岡秀樹もファームで実戦復帰し、1軍登録が秒読みとなってきた。昨年最多安打に輝いたチャンスメーカーが1軍復帰すれば、攻守で戦力がさらに上がる。

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