「マネー」をテーマに読者イベントを開催しました。講演のあとはワークショップも実施。盛り上がりました!
「マネー」をテーマに読者イベントを開催しました。講演のあとはワークショップも実施。盛り上がりました!

最初にやったのは「空を見る」

――鈴木さんもそうして独立されたんですか。

 FPになる前の私はというと、ビジョンゼロだったんです。家事に子育てにと忙しいし、毎日が本当に嫌でした(笑)。あのときビジョンを描けていたら、もっと楽しい人生を過ごせたんじゃないかなと思います。私がやった最初のステップは「下を向かないこと」です。

――お金のことではないんですね。

 人と目を合わせるのが苦手だったし、地面が友達だと言えるくらい毎日うつむいていました。でも、「1日1回は空を見よう」と決めて、毎日実践しました。すると、自然といろんなものが目に入って、つまらない人生に少し色がついた。お金に全然関係ないですね(笑)。

 資産形成はお金だけじゃなくて、マインドのあり方も大事なんですよ。投資や預貯金の増減に目を向けすぎると、それだけで頭が変にいっぱいになってしまいます。どれだけお金を貯めていても、人生では思いがけないトラブルに見舞われて、一瞬で大きく減ってしまうことがあります。投資もそうですが、予想もしない暴落が起きることだってある。「お金や不動産があれば絶対に安心」ということはないんですね。

 だからこそ、人付き合いや知識、逆境に負けない力といった「無形資産」も大事だと思うんです。お金を貯めることも大事ですが、それ以外のことにも目を向けてほしいと思いながら相談にのっています。

――定年延長についても、たびたび話題になります。人生後半の生き方とお金のヒントを教えてください。

 お金を「増やしたい」「貯めたい」「節約したい」という相談が多いのですが、安心して暮らしていける金額を尋ねると、ぱっと出てこない方が多いのも実情です。「月に最低限20万円あれば生きていける」などの目安を立ててから、65歳以降の自分がどういう生き方をするのか逆算してください。

――金融機関やFPの方を取材していると、「逆算」という言葉をよく耳にします。この逆算が意外と難しいなとも思います。

「1000円単位まで管理できなかった」「100円のズレが出た」と落ち込む方が時々います。でも、全然大丈夫。むしろそのくらいでいいんです。そもそも人生が予定通りに進むことなんてほとんどないし、そうなったらつまらないじゃないですか。

 逆算するのは、「今なにをすべきか」を考えるためで、未来を完璧に予測するためではありません。キャッシュフローをつくっても、1年後には変わるものです。あくまで目安として逆算しているんだと思ってください。

次のページ ケーキ付きセミナーの「落とし穴」