給与明細が間違っていることも

――税金と社会保険ですね。お金の問題は難しいと感じる方もいるようで、「記事を読んでも2行くらいで頭が痛くなってしまう」という声もありました。最初の壁を突破するコツはありますか。

 まずは給与明細をしっかり読み込んでください。中身を見ると自分の手取りがどういうふうに出ているのかを理解できます。何をするにおいても手取り収入はキモになります。資産をどう育てていくか考えるのは、それからですね。私も昔できていなかったことです。

――ここだけはチェックすべきというポイントはありますか。

 給与明細には給与所得や社会保険料など、さまざまな情報が載っています。まれに間違って控除されていることもあるので、まずは「額面」と「手取り」をしっかり確認し、何がどれだけ差し引かれているのかを把握しておくことが大切です。特に勤怠のミスは意外と多く、気づかないまま損をしているケースも少なくありません。

 数字の一つひとつを「自分ごと」として捉えるだけで、お金に対する意識や興味が自然と高まります。逆に、自分のことをよくわかっていないままだと、業者や金融機関に言われるまま、よくわからない契約を次々に結んでしまうことにもなりかねません。

――給与明細を確認した次のステップは、どうするのがよいのでしょうか。

 細かいことはいろいろありますが、多くの人が不安に感じているのは、「この先ちゃんとやっていけるのか」「将来お金は足りるのか」ということだと思います。耳にタコができるほど聞いた言葉かもしれませんが、やはり大切なのは“ライフプラン”を立てることです。どういう人生を送りたいのかビジョンを持ったうえで、そこに必要な資産をどう準備していくかを考えてください。いきなり投資や節約に飛びつく前に、「なぜ・何のために」お金が必要なのかを自分の中で明確にしてみてください。

 こうして記事を読んでいる方は、ビジョンを持ちたい意識がある方たちだと思います。寝る前に3分だけでも、「今日はこういう一日だった」「明日はこれをしたい」と考えてみる。明日のことを考えたら次は来週のこと、3カ月後、1年後、5年後、10年後……と積み重ねていくことが大事です。いきなり老後のことを考えるのはハードルが高いですから。

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