
損害保険会社に勤めていた鈴木さや子さんは、結婚を機に退職。11年間の専業主婦生活を経て、2011年にファイナンシャルプランナー(FP)として開業しました。以来、「会いに行けるFP」として日本各地で講演活動をしています。物価上昇が続くなか、自分の資産をどう守ればいいのでしょうか。AERA副編集長の常冨浩太郎が「お金の考え方」を聞きました。
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――鈴木さや子さんは「会いに行けるFP」として、全国で講演活動をしています。相談に来る方の共通点を教えてください。
個別質問で来られる方の多くが、とても緊張されていて、「怒られるんじゃないか」と不安そうなところです。というのも、すでに何らかのトラブルに直面していたり、マイホームなど大きな契約が目の前で不安になっているという状況がほとんど。FPとして、本当にサポートすべきタイミングに寄り添えていないのではないかと感じました。
もっと気軽に相談できて、トラブルなどになる前に立ち寄ってもらえる場所をつくろうと「会いに行けるFP」として、銀座でスナックを始めました。今年3月からは、それを全国に広げ、月に1回のペースで各地に“出張スナック”を開いています。
――最低限知っておくべき「お金の常識」を教えてください。
お金の知識は幅広く、すべてを理解するのは大変です。最低限といえば、まずは税金でしょうか。特に会社員の方は税金がどういうふうに算出されているか、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。
私も会社員時代はよく理解しておらず、ちゃんと仕組みを知ったのは開業してからです。それまでは年末調整をご褒美だと思って、もらったら「飲みに行くぞー!」なんて、すぐに使ってしまうような生活でした。
もう一つおさえておきたいのは、社会保険です。国民年金や厚生年金はもちろん、健康保険も含め、暮らしに密接に関わる制度です。日本では社会保険に関する議論が何かと炎上しがちですが、実は非常に強く、手厚い仕組みでもあります。
だからこそ、自分がどんな制度のもとで、どこまでの保障を受けられるのか「最低限の権利」を知っておくことが大切です。