「至高のレシピ」の原体験
とはいえ、最初は5人くらいしか集まりませんでした。確か、ナポリタンとおでんを作ったと思います。
実はそのときのレシピが、ベストセラーになった『リュウジ式至高のレシピ』(ライツ社)にそのまま収録されています。『至高のレシピ』はかなり強気なタイトルですが、俺はこれでいいと迷わずゴーサインを出していました。
その最大の根拠というか自信の背景にあったのは、このとき、おじいちゃんおばあちゃんに料理がバカウケしたという体験です。
ナポリタンの味の決め手は、煮詰めたケチャップです。
ウインナーを炒めて、そこに玉ねぎを加えてしんなりするまで火を通す。マッシュルームを加えて、ケチャップをからめて弱火で余計な水分を飛ばせば、具材にケチャップがとろっと絡むようになります。味付けはこれだけ。
そしてバターとピーマンを入れて炒めたあと、そこにスパゲッティを和える。これ、まずいわけないですよね。
仕上げのバターというのがちょっと昔の洋食っぽくなるポイントなんです。昔の洋食のレシピを見ると、今以上にバターを多用します。そういうレシピで食べてきた世代には懐かしさを感じる味だし、俺らの世代が食べてもバターでコクが出ているからやっぱりうまい。
ものすごくハマった味付け
おでんの決め手はオイスターソースです。
俺のレシピは大根の下茹でもしないし、具材によって煮込み時間を変えるなんてこともしない。1時間くらい煮込んで、寝かせてまた温めるだけ。
オイスターソースって醤油系の味わいもあるから入れるとうまいんじゃないか、と思って使ってみたら、ものすごくハマりました。白だしのうま味に、牡蠣のうま味と香りが良く重なってくるんです。味は塩で調整してもらえばいい。
そもそも家のおでんに凝った出汁は必要ないんです。理屈で考えてみればわかるけど、おでんによく入っている練り物は魚からできています。